少し前に宮崎に行った時に、500円で泊まれる宿があると聞いて興味本位で行ってきました。夕方から翌日まで予定がない日があったのです。500円とは、よっぼど辺鄙な場所にあるのか、500円でも人がいないくらい不自由な宿なのか。
結論から言うとクセが強くて、相当心細い思いをしましたが、最終的にはいい体験でした。こんなユニークな場所があるんだなと。
折しもその日の宮崎は気温1度、ほぼ人にも会わず、死んだら春までみつからないんじゃないかという、若干命がけの1泊2日の模様をレポートします。
今回の内容
まず、暗すぎて辿り着けない。でも星がキレイ
泊まった宿は宮崎県の小林市というところにあります。県の西側になるんでしょうか、南に行くと都城、西の市境には霧島山があります。
宿に行くには、まず近くのカフェで鍵を受け取る必要があるとのことなので、そこを目指します。宮崎道の小林ICを出て山道を上っていきます。右手には生駒高原があるようでしたが、なにぶん真っ暗で何も見えません。
一般道に出てから10分ほどでカフェに到着。カーナビで入れても近くまでしか出てこず、普通に見逃しそうでした。この暗さ。右は翌朝撮った同じ場所です。
Coffeeたまきののという場所で、本日の宿である月見堂の地図と鍵を受け取ります。
おばあちゃんに「カフェからしばらく行って、2本目の道を左に、杉並木が目安だからね。それから右にぐるっと回り込んだら月見堂があるよ」と教えてもらいました。
一度電気をつけた後に地図の畑と畑の間の道から撮った様子。暗すぎる&周りに何もありません。舗装されていない道を進みます。
月見堂に至る入口。ここで合ってんのかなと不安がマックス。イノシシとかいそうなくらいの茂みです。
どうにか車を止めて月見堂に到着。最初は電気も何も点いてないのでこの瞬間が一番ビクビクしてます。風で葉っぱがサワサワサワとなるだけで、すわ熊か!とビクーッとなります。
まず到着ミッションはクリア。建物の中にだいたいの地図がありました。なるほど、今はこの辺りなんですね。
って、ざっくりすぎる。
ずっと明かりのない山道を上って途中で気づいたんですけど、街中で見る空よりも星が多いです。気温は氷点下だけど、しばらく感心して観入ってしまいました。1枚だけ写真に収めるのに成功。
それがこちら。
銀河鉄道999のメインビジュアルかよ。数を数えたら2か月くらいかかりそうなほど星がありました。
建物の中は広すぎて寒いからストーブ必須
学習館ということなので、子どもたちが集団で泊まれる施設なんでしょうか。カフェで聞けばよかったんですけど、他にもっと聞かなきゃいけないことが多くて。
室内は10人弱過ごせそうなスペースがあります。広いんですけと部屋数が少ないので、コナンや金田一の一行が来るには不向きかも。
リビングの円形テーブルです。大勢いたらここで夜通し語らえそう。でも今晩は一人。語りかける相手はストロングゼロしかいません。
キッチンスペースです。食器は使っていいそうです。水は少ししたら出て安心。
エレクトーンがあります。それにしても部屋が寒い。氷点下の外と変わらない。
前に人がやってきたのはいつだったんでしょう。意外と最近だったりして。空気が冷たいです。
石油ストーブを引っ張り出してきました。3分くらい悩んで、これしかないってやり方で火をつけたら無事着火。デザインとUIの勝利です。
おばあちゃん、さっき「灯油残ってたかしらね」って言ってたけど、灯油なかったら死にますよマジで。
寒ささえしのげれば即席オフィスの完成です。悪くない。
お腹が空いてきたような気がします。腹ごしらえに行きましょう。
食事は3kmくらい山道を下りて
焼酎もあるし、お湯も沸かせるので部屋でしっぽり晩酌も考えましたが、寒くて食欲が沸きません。
高速出てから何軒か飲食店ぽいのがあったので、そのあたりに行きます。コンビニにも寄らないといけません。ちなみにインター付近には飲食店より多くのラブホテルが建っています。
やってきたのはみやまどり苑。店の前のスペースには謎の像がずらっと並んでいます。
宮崎 みやまどり苑。以前あった最強珍スポ「ダルマの里」のコンクリ像を引き継いだ食堂だ。猪肉や山菜が入ったみやまどりうどんをいただく。 pic.twitter.com/q7Ix5fDDOV
— 金原みわ (@zou_da_zou) 2016年7月12日
メニューは定食に麺、鍋などなど。寒いのでうどんなんかもいいですね。宮崎牛も食べたいけど少し高いかな。
でも暖まるもので、珍しいもの…ってことでいのしし鍋を注文しました。
付け合わせの漬け物とかを食べつつ、10分くらいで到着しました。
味噌ベースのスープに白菜など野菜がどっさり。1人で食べるには十分すぎる量がありますね。
いのししはほどよく脂があります。身がぎゅっと引き締まっていて、くさみもなくおいしい。淡白ですが、噛めば噛むほど肉の味が広がってきます。
こんにゃく、ニンジン、かまぼこなんかも入っています。お、きのこがウマい!スープもするする飲んじゃいます。
食べ終わったら店員のおばちゃんと雑談。みなさん優しいですね。
◆みやまどり苑
宮崎県小林市南西方7677
0984-23-5510
11:30~?
夜の暇つぶしと就寝。流石にもう寂しさもない
食事を終え、コンビニに寄ったら宿に戻ります。
「ただいまー…」
「…」
当然反応はなく。でもスキマ風でタイミングよく扉がガタガタして、返事があったらあったで怖いです。
電波はフルで届くのでネットも仕事もできるんですけど、途中から飽きます。寒いので毛布から外に出す部分もなるべく小さくしたいんで。
入口の横の棚から、時間つぶしになりそうな本を探してみたら、松本清張が揃ってました。
ミステリーは今の状況だと自分が死にそうでつらいので、銀座のクラブの話を読みます。松本清張を半分くらいと小林の地域史を眺めてたら眠くなってきました。12時すぎ。
2階の寝室の様子を見に行ってみます。
…おお。
ここに1人か。怖いな。まあ寝ちゃえば一緒か。
階段の上の引き出しから布団を出して準備。岡山のおばあちゃん家を思い出すな。
意外といい感じですね。快適。まあ、あまりこだわりすぎなければ住めば都、寝れば夢ですよ。
翌朝、窓の外には雄大な自然が広がっていた
夜中に幽霊がでたり怪奇現象が起きたりとかの展開はなく、至って普通の朝を迎えました。むしろ普段よりも目覚めがいいくらい。7時か。
相変わらず寒いですね。ハーッとすると部屋のなかでも息が白い。いい天気っぽかったのでカーテンを開けると…すごい景色!
畑、それから山。スケールがすごい。そりゃ夜あんなに真っ暗になるわけですね。
部屋を片付けて帰りましょう。寒い、暗い、怖いと昨日は文句ばっかでしたが、こうして宿を後にすると悪くなかったという気がしてくるから不思議です。
昼間に見たらかわいらしい一軒家ですね。
宿代の500円は封筒に入れて鍵と一緒に返します。でも今日は法事で朝からいないので、玄関に置いといてほしいとのことでした。
しっかりと置いときました。チェックアウト完了です。
結果、500円でめっちゃ満足している自分がいる
以上、500円宿に泊まった感想とレポートでした。どうなることかと思いましたが、朝起きてみると意外と清々しい。
もう一回泊まってもいいなと思えるくらいです。感想のまとめとしては
- 冬の宿泊には厳重な寒さ対策が必要
- 逆に缶詰めでの作業に最高なんじゃないか
- でもやっぱり複数の方が楽しい気がする
大きい声も出せそうでしたしね。宮崎の小林市に行く時はぜひ利用してみてください。
あ、風呂は結構あれなのですぐ近くの温泉が気持ち良いですよ。
◆Coffee たまきの
宮崎県小林市南西方8793-3
0984-27-2668
10:00~18:00(冬期17:00)
火・水曜休み
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