発売中のdancyuの食パン特集がすごく良かったです。
少し前に編集体制が変わりましたが(色んな店で話題になってて影響力あるなと思う)、その後では個人的に一番好きでした。
僕は普段ほとんど食パンを食べないんですけど、そういう嗜好や週間を超えて
- 構成が良い
- 読み手のペースに沿ってる
のがすごく良いなと。
こういうビッグキーワードって、手にとってもらいやすい分、読者の期待から外れたり、気を使いすぎて薄くなったりすることが多いんですけど全然そんなこともなく。
構成で言うと、食パンを色々な角度から取り上げつつ、それぞれに深みがあってピックアップしてる店にもこだわりが感じられます。
あとすごく良いなと思ったのが、台割作りが楽しかっただろうなってのが伝わってくるところ。
表紙から始まって、特集トップの扉、最初のパートの流れがまずすごく良いですね。
最初のパートは築地で早朝から営業する珈琲の店 愛養の人気朝食メニュー・トーストを取り上げたもの。
市場で働く人たちのオーダーした自分流のトーストを紹介してて、パッと見で絵変わりしなさそうなんだけど、実はバリエーションで楽しい。
食パン好きの人たちが自分の食べ方を紹介する「マイ・ベスト・トースト」、美味しいパン屋を訪れる「町のおいしい食パンを買いに。」といったような内容が来ます。
コメントをもらう識者や著名人の選び方は、新体制になってからカラーが出てますね。
dancyuらしい遊びのある解説もあり。
それから、目次からタイトルだけ引っ張ってくると
- 日本三大食パンの話。
- 教えて!究極の焼き方。
- パンの耳でフルコース
- モーニングは京都。
- ピザトーストの時間
と続いてます。
読み手の読むペースに合ってるってのは、「この構成完璧!」って組み立てだと、読者が置いてきぼりになることが多いんですよね。
今回の食パン号は、次はなんだろう?って先が気になるような構成で読みやすいです。機能的なだけの目次じゃなく、読者の読むシーンや考えそうなことまで先回りして練られてるように思ったんですよね。
「たまごサンドと、カツサンドと、フルーツサンド。」ってコーナーも、ここでこうきたか!という展開。
最後は、個人的にもこういう作るの好きなニッチだけど愛情がある感じの内容。
「ぶどうパン密度研究」と「国民的パン祭り、あの白いお皿、ぜんぶ」です。パン祭り、内容もコピーもいいですね。
Webで雑誌媒体を作ってると、読者の読むシーンをどうしても想像しないといけないんですが(どこがストレスになったか、どこが引き付けたかというデータが可視化されてます)、データに基づくテクニックだけじゃなく、想像力も大事だよなと思わされる号でした。
たまには食パンでも食べようかな。