この間、年が明けたと思ったらもう3月。夏の手前くらい温かい日も結構ありますね。だけど油断してはいけません。僕は3月の下旬生まれですが、30数年前のその日、東京は大雪で母親は大変だったっていいますから。
月内に書こうと思っていたのですが、2月の中頃に麻布十番の赤星とくまがいに行ってきました。ここは日本酒と料理のペアリングで確かな地位を築いている有名店です。
月ごとに変わるコースと、一品一品合わせたペアリングコースが素晴らしいのですが、お値段はそれなり。でも、来るのも久々だし、たまの贅沢とばかりに奮発しました。
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2月のコース内容はこれ。
旬の素材にこだわっているというお話の通り、季節感がある料理がずらっと並んでいますね。
元々この店は、アメリカで地酒のインポーターとして働き、日本酒バーも開いていたソムリエの赤星さんが、NYで出会ったシェフの熊谷さんと一緒に、日本でのチャレンジとしてスタートさせた店なんです。
そうこうしてるうちに一品目の到着です。
今回の内容
・ホワイトアスパラのクリームスープ サフランの香り
スープはサラッとした食感だけど、クリーミーさがあります。例えるなら、じゃがいものポタージュみたい感じ。
スープのなかに、焼き目をつけた小さなキャベツのような野菜が入っていますが、この葉っぱがめちゃ美味しい。香りがすごい。こういうところまで手がかかった料理ばっかりなんです。
合わせるお酒は末廣の微発砲酒ぷちぷち。
クリーム系には酸味があるものが合うという言葉の通り、酸が混じり合って気持ち良い。「乳酸と乳酸と合わせていくペアリング」だそうです。
・ボタンエビと甘平の甘酸っぱいマリネ
2品目はボタンエビと甘平の甘酸っぱいマリネです。
これは美しい。寄って見るとこうですから。
甘平というのは、みかんの一種で豊かな甘みとぎっちりとした身が特徴の品種なんだとか。食べてみると、確かにぷちぷちした食感で美味しい!甘酸っぱくてマンゴーソースと合いすぎます。
お酒はというと…。新政の新春朝搾り 純米 生原酒です。
これは美味しい。美味しくないわけがない。日本酒はブランドや地域を選ばず、料理に合うものはなんでも使っているのも赤くまの特徴です。
さてひと口。これはすごい。水のように透き通ってキレイな印象です、生原酒らしいボリュームや最後の味の広がりがすごいっす。
生酛らしい洗練された複雑味があるけど、つっかかりがなくスッと喉を通る。ボタンエビの香りが、お酒を飲んだ後、もう一度ブワッと広がりました。
・桜エビとソラマメのかき揚げ
3品目はかき揚げです。運ばれてきた時点で、すごく香りが良い。エビの香ばしさとソラマメの畑の香り。とにかく食欲を刺激するよいにおいです。
お酒はというと、五反田や恵比寿で店舗を展示するそれがしのオリジナル銘柄・英雄。
低アルコールのにごりですが、まったりとした舌触りで、ぷつぷつと心地よい発泡も。お米の味がしっかり感じられる味わいです。
かき揚げは炭塩が少量でかなり利いて、味しっかりですが英雄の甘みがくっと口の中で調和します。
ああ、美味しい。料理も合わせるお酒を考える楽しみもあります。(料理を出すタイミングも考えられているので、他のテーブルよりスタートが遅れると、ペアリングのお酒が全部わかっちゃいます。遅刻厳禁!ネタバレしちゃうから)
・本日のお刺身盛り合わせ
さあ、お次は刺身の盛り合わせ。内容は、まぐろ、平目、ブリ、鰆、ウニです。
お酒は福井の花垣。
スモークしたような風味で、かすかにヒノキのような香りもします。味はというと、純米らしい旨みと、それに加えて酸も特徴的な感じ。
ウニに合わせてみてください、といただいたのは金紋秋田 X3 亜麻色。麹三倍仕込みで米の旨みと甘さが特徴的な銘柄です。透明感があって伸びやかなんだけど、どしっとした表情もある感じです。
これでウニを食べると、まず口の中でウニの風味とよく絡み、ノドをすっと通って、飲み込んだ後にウニの味わいがもう一度膨らむという流れになります。味がフラッシュバックするってやつですね。何言ってんのって思われるかもしれないけど本当なんですよw
次まで少し間が空いたので、英君の特別純米 袋吊り雫をオーダーして待ちます。一緒に行った友人が静岡が好きでこの間も行ったばっかりだということで。
ちょっと青リンゴのような香りで、飲み口はクリア、後口のキレも抜群です。
・ノドグロのポワレ はまぐりと春菊の餡をかけて
赤星さん曰く、苦みの強い春菊はペアリングが難しいそう。なので、今回は酸味で合わせて味をまとめてくれる川鶴の讃岐くらうでぃを選んだといいます。
ノドグロはこんな具合です。これはうまい。間違いなくウマい。
あんは昆布ダシ、ハマグリ、春菊と様々な味が他を損なうことなくうまく混じり合っています。散らされた香りの良いゆずとか、大根が少し焼き目がついているのとか、見え隠れするプロの仕事。
にごりらしい米の旨み、酸味と麹の甘みが強いクリーミーな讃岐くらうでぃと合わせると…最高です。
・イベリコ豚の変わりすき焼き黒トリュフがけ
イベリコ豚これはイベリコ豚。ただただイベリコ豚。ウマすぎ。
そしてかなりトリュフってます。肉や濃いめの味が好きな人の味覚をダイレクトに狙い撃ちしてきます。
皿が赤と白で縁起が良さそうです。
お酒は大倉の山廃純米 備前朝日 直汲み。厚みがある旨みと米のニュアンス。美味しい。もう美味しいしか言ってない。
・白魚と生のりの稲庭うどん 梅風味
シメは白魚と生のりの稲庭うどんです。お酒も結構飲んでいるし、メインの料理もなかなかボリュームが多かったですが不思議と食べれてしまうもの。
なんか香りが良いです。きっとまたいろいろな材料が使われてるのでしょう。畑の土の良い香りがする。気がしただけか、もはや記憶違いかもしれませんが。
お酒は山口県の八千代酒造の八千代 Bd-14 純米酒。この間、知り合いが結婚してその相手が山口出身の人で、挨拶に行って実家から持たされて帰ったということで初めて飲んだのですが、また会った。
すごくキレイな造りだけど、透き通るまろやかさの奥に甘みのパンチがあります。最後に飲むには鼻から抜けるアルコール感もほど良いですね。
と、こんなに濃密な2時間くらいな訳で、さすがにもう十分というくらいお酒もいただきました。お酒も料理も両方の相性やペアリングを計算して組み立てられているため、さすがにどれも素晴らしい組み合わせ。
◆赤星とくまがい
東京都港区麻布十番3-3-9 COMS AZABUJYUBAN 7F
03-6459-4589
18:00〜2:00
日曜休み
https://akakuma-sake.com/
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