内戦、マフィア、ギャング…テレ東のヤバすぎるグルメ番組がハイパーハード

ついこの間、テレビ東京で放送された”グルメ番組”がネット上で大きな話題になっていた。

私はドキュメンタリーや世界の人々の暮らしを追った番組が好きで、グルメも(一応現在の)専門分野ということになっている。そのため2週連続で夢中になって見ることになるが、内容が想像以上にヤバすぎた。それが「ハイパーハードボイルドグルメリポート」

ハイパーハードボイルドグルメリポート | テレビ東京

ハイパーハードボイルドグルメリポートのページです。

この番組は、死と隣り合わせの日常を生きるギリギリの人たちの食事を通して「ヤバい世界のリアルを見る番組」。登場する人たちの境遇や生き様が極限すぎて、全編に渡って言葉にできない緊張感が漂っている。見ているこちら側が冷や汗をかきっぱなし、みたいな。

(時に身を危険にさらしてまで)あくまでリアルを追求する姿勢によって、私たちが想像することしかできない壮絶な「生」を捉える。それによってヤバい人たちの食べる食事には息がつまるほどのリアリティが漂い、同時にどれもめちゃくちゃ美味しそうに見える。

テレ東の先輩ディレクターによると、担当した人物はハイパーハードが初めての企画・演出だという。そして、ロケディレクターから撮影までをすべて自分でこなしていたそうだ。

同局のバラエティの代名詞的な存在・佐久間宣行氏も絶賛している。

冒頭、ハイライト的な映像に重ねて、次のような言葉が映し出される。

人は誰でも腹が減る
飯は問う
飯は答える
食べる=生きる
飯から世界が見えて来る
これはグルメ番組です

そう、「ハイパーハードボイルドグルメリポート」は、あくまでグルメ番組だ。取材ディレクターはリベリア、台湾、アメリカと世界中を飛び回り、現地の人々の食事風景を撮影して回る。これだけならNHKで放送してもおかしくない内容だが、普通の番組とは取材対象がひと味もふた味も違う。

内戦の傷跡が未だに残るリベリアでは、エボラで夫をなくした一家や元少女兵の娼婦を取材。台湾では、一見温厚そうなマフィアの首領にNG質問を繰り返す。アメリカのロサンゼルスでは抗争の只中にあるギャングを訪れるが、ご丁寧に5kmの距離で対立しあう相手方にも突撃する命知らずぶり。どういう発想からスタートした企画なのか聞いてみたいくらいだ。

©すしぱく via ぱたくそ https://www.pakutaso.com/20110710194post-374.html

紹介される食事は、どこかテレ東らしさを感じさせる、クスリと笑ってしまいそうなメニュー名がつけられている。ただ、内容がヘビーすぎて笑うに笑えないものもある。

例えば、「日本の支援物資横流し飯」「台湾マフィア 組長たちの宴会メシ」という物騒すぎる宴会もあれば、ほかに「ギャングのワイルドおやつ」といったものもあった。内容が気になって仕方がない、パワーワード目白押しだ。

私は「ハイパーハード〜」すごさのひとつは、創作では作り得ないほどのリアリティの強さだと思う。食事を撮影させてくれる人たちは、貧困や命がけの抗争など皆が様々な形のハードすぎる日常を生きている。そして誰もが、食事に喜びを見出し、満足して帰っていく。

ひとつひとつ食事がどれも美味しそうに見えることと言ったら…。

リベリアの元少女兵は”仕事”の後でジャガイモの葉っぱカレーを食べる。食堂は暗闇で、一回春をひさいで稼いだ金額とほとんど値段が変わらない。この数種のスパイスと魚介ダシで煮込んだリベリア風のカレーという説明だが、この人が美味しそうに食べるのだ。

ロスの抗争の町で、メキシカン側の男は、小さい頃から通っている「めっちゃウマい」食堂でボリューム満点のナチョスをごちそうしてくれる。一度も行ったことがなく、これからも行くことのない故郷メキシコの味。抗争に終わる見込みがなくても、ナチョスを食べた後の笑顔は満足そうだ。

一方、抗争相手の黒人カラーギャングの人物。このボスの手下は「毎日が最後の晩餐」だと覚悟を明かしつつも、連れて行ってくれたのは地域にあるオーガニックなバーガーショップ。ウマいだけではなく、体にも気を使っていることを嬉しそうに語っていたのが印象的だった。

彼ら彼女らにとっては、まさしく食べる=生きる。万事がこんな調子で、私たちが当たり前に考えている食事や生活、「生きる」ということを激しく揺さぶる素晴らしい番組だった。そして、これだけ食事を美味しそうに映し出すことができているのであれば、どれだけ社会派な内容でもやはり最高のグルメ番組なんだと思う。

http://www.tv-tokyo.co.jp/hyperhard/

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。