手取川 特醸あらばしり 純米大吟醸(石川・吉田酒造店)

東京に住んでいて、日本酒に関わることも多いお酒のメディアの仕事をしていても、まだまだ色々な出会いがあって面白いなと思う今日この頃です。

流通が整備され、全国のどこでも買おうと思えば大体の地酒(っていう言葉を使わない人も多くなりましたが)が買えるようになった今、「誰が造ったどんなお酒か」っていうことと同じくらい「誰から買ったか(飲ませてもらったか)」ってすごく大事だと思うんです。

大きな酒販店はもちろん素晴らしいですが、「えっ、大きなお店でも品薄な銘柄がここに!」みたいに、小さな街の酒屋さんでも意外な銘柄が扱われてることってありますよね。

聞くと、長い時間にわたる蔵との関わりや意外な人間ドラマがあってすごく面白かったり。お酒は人が造るものなので、売り手さんも同じような思いを届けてくれる人だと、こちらも嬉しいものです。

さてこの間は、友達の家で飲むことになり、近くにある商店街の酒屋に行って1本四合瓶を買いました。手に入れたのは、吉田酒造店の手取川 特醸あらばしり 純米大吟醸

 

このお酒は全国の特約店でしか買えない銘柄で、造って1年寝かせたものなんだとか。

兵庫県三木市平井地区の山田錦を45%まで磨いた鑑評会用のお酒(か、それと同じ造りだったか)なんだそうです。ただ手取川の造りであれば、あらばしりで鑑評会に出していると聞いても驚きはないですね。

飲んでみると、香りは穏やかで、ほんのりと甘みが香り、お米をしっかりと溶かした甘みがのった素晴らしいお酒の予感がします。

食中に進むお酒を目指して金沢酵母を生かす手取川らしい香りですね。

ひと口含むと、舌の上を跳ね回るキレイな酸。無邪気で生命力に溢れたイキイキとしたキャラクターです。

それからボディの厚みを感じさせると同時に、口の中に広がる甘み、米の旨み。無ろ過の力強いニュアンスと、得意とする繊細な酒質を両立させているのが面白いです。

飲んだ後のキレを演出しつつ、ふくらみのある余韻を残し、ついお酒が生まれてから自分の口に届くまでの長い時間のロマンに思いを馳せます。

最後にかすかに1年間熟成したことに由来するカラメル香の萌芽。これはもう少し温度が上がるとよりハッキリと感じられそうです。

ひと言で言うなれば、イチローが時折見せるホームランのようなお酒。ウマいとわかっていても、想像のさらに上を行く気持ち良い仕上がりのすごく美味しいお酒でした。

「手取川 特醸あらばしり 純米大吟醸」
吉田酒造店(石川県白山市)
分類:純米大吟醸
原料米:山田錦
使用酵母:自社培養金沢酵母(協会14号)
精米歩合:45%
アルコール度数:16度
日本酒度:+0
酸度:1.3