新宮・和美場くいしんぼう① ここはすべての日本酒好きのための学校だ

新宮といえば、熊野古道、温泉、あるいは中上健次。見どころや名所はいろいろあるけど、食やお酒の文化も豊か。

市内には僕も毎回訪れる、日本酒好きなら必ずや満足できるだろう、一軒の飲食店がある。

それが、こちらの和美場くいしんぼう

大阪・京都・神戸に比べると、南紀に行く機会はあまりないかもしれないが、個人的には、この店に立ち寄るために関西から足を伸ばしても良いと思えるほどだ。

特急くろしおで新大阪から約4時間。東京に帰るより2倍遠い新宮の、そういう意味ではまさにミシュランの定義する「三ツ星」

新宮駅からは徒歩で10分程度。スーパー・オークワの裏手に位置する。浮島の森や、中上健次が暮らした「路地」があった場所も徒歩圏内だ。

店主の的場さんは、昼間は市内で「みゆきや」という酒販店を営む方。みゆきやも、知る人ぞ知る知るスゴい日本酒専門店で、県外にも多くのお客さんを持っている。

 

的場さんは、長年の飲食や酒販の経験から、日本酒の分類やペアリングについて独自の理論を確立し、飲食店や消費者にさまざまな提案を行っている。

これまでも何軒もの飲食店を営んできたが、最後に「日本酒のすばらしさを伝えていく場」として、オープンしたのが和美場くいしんぼうだという。

店内には和歌山の地酒をはじめ、各地の日本酒が所狭しと並んでいる。見るからに貴重な古酒もありそうだ!

今回は、地元の幸をとことん満喫できるおまかせコースをお願いした。

お酒も基本的にはおまかせ。料理との組み合わせや、飲む人の嗜好によって、その時にベストなお酒を提案してくれるちというわけだ。

出してもらったお酒は熊野めぐり純米吟醸生詰原酒「鮪」。吉村秀雄商店が醸す限定銘柄。

その名の通り、地元のまぐろ合わせるためのお酒として造られたお酒。隣の那智勝浦町は生マグロの水揚げで日本有数の港町なのだ。

こちらの鮪。味がしっかりとのっていて、口に含むとお米の旨みがグワーっと広がる。余韻の前半ではカラメル様の甘みを感じさせつつ、スパッとキレるお酒だ。これは僕の感想。

的場さん曰く、鮪は「一本勝負」ができるお酒。料理に合わせて、温度を変えたり加水・加湯したりして、自分の落としどころを見つけやすい銘柄だそう。

さあ楽しいフルコースの時間だ!この時期に最高の地元の味のオンパレード。

1品目はまぐろの生ハム。今日は美味しいまぐろが食べたいと伝えていたため、まぐろ中心の組み立てにしてもらえたようだ。

2枚はレモンをかけて、1枚はしょう油で。それぞれお酒の飲み方を変えると良いとのこと。

スプーン1杯だけ加水してみた。

む、こっちのほうがバランスが良く、余韻も広がるぞ。

加水できるお酒とそうでないお酒があり、水っぽくならないためには、原酒系やしっかりした味わいのものが伸びるとのこと。確かにお酒が伸びてタッチが軽くなったように感じる。

お次はマグロのカルパッチョ

サッパリしていて美味しい。すぐりみかんをかけて。

すぐりみかんという、この青く小さなみかんは、みかん栽培の途中で間引いた実のこと。

すべてを実らすと良いものができないために、ある程度の数まで実ろうとするミカンを採ってしまい、栄養を残されたミカンにたっぷりとまわり、より高品質のミカンを育てようとする作業で、そのときに獲ったみかんの事です。
南紀勝浦温泉 海つばめ 果実酒

カルパッチョも、そのままと加水1杯で合わせ比べ。

そのままだと、カルパッチョとみかんの酸味も手伝い、アルコール感を鼻の抜けからやや強く感じる。どっしりとして濃さ、たっぷりの旨みは残り、飲み応えは十分。

一方、加水1杯は、お酒が伸びてバランスが良くなった印象。余韻の広がりにきつい感じがなく、ふわっと香りが残る。薄い味付けの料理なんかにも良さそうだ。

同じお酒でもすごい違いだ!そしてお店や的場さんの言葉の情報量がすごい。後半戦はもっと濃密なので2回に分けて。

次回予告>
 

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