まさにお手本!グルメ編集者が教えるナスDの“食レポ”のすごさ

ちょっと前まで、ナスDに夢中でした。

全身真っ青の異様な風体でおなじみ、「陸・海・空 こんな時間に地球征服するなんて」の人気コーナー「部族アース」に登場する友寄ディレクターです。

破天荒、ハチャメチャ、ぶっ飛んでるなどと評されることも多い人物ですが、テレビの作り手としての客観性も持っている、根っからのテレビマン。

破天荒、ハチャメチャ、ぶっ飛んでるなどと評されることも多い人物ですが、テレビの作り手としての客観性も持っている、根っからのテレビマン。

そんなナスDのバランス感覚は、“食レポ”のシーンを見ていてもすごく顕著に現れます。

今回は、現グルメ編集者の私が、番組のシーンやそれ以外の例を交えながら、ナスDの食レポの魅力について考えてみたいと思います。

型にはまらないナスDの食レポ

例えば、5月2日の放送回で「パロメタ」という魚を食べたシーンを見てみましょう。

ナスD:ちょっとピラニアに似てる。これ食べれるのかな。食べていいですか?

ホセさん:いいよ。

ナスD:内蔵もいけんのかな。
(生でかぶりつく)

ナスD:うん。リコ(美味しい)。

ホセさん:美味しい?

ナスD:美味しい。全然いける。うん。サンマの刺し身みたい。美味しい。美味しいよ。(息子のナウン君に差し出して)食べる?

ホセさん:(ナウン君に)ダメだ、お前は食べるな。

ナスD:美味しい。骨ごといける。くさみも全然ない。今の魚はオススメできます。身がプリッとしていて、魚ってより甘えびみたいな。甘えび5匹分くらいある。

私たちには全く味が想像できないパロメタなる魚が、サンマのような味で、甘えびのような弾力・風味を持っていることが伝わってきます。

多くの人が食べたことない魚の味を、瞬時に身近な食べ物に置き換えるこの技術。

ひらめき
も、発想のジャンプも、説明の組み立てもすごい。この男。

思わずうなった食レポのフレーズ5選

発想のジャンプについて触れました。

食レポ、俳句や謎かけ、なんでもいいのですが、例えて表現したり説明したりするとき、2つの説明が遠すぎても(聞き手が理解できない事例などでも)ピンとこないし、近すぎても意外性がなく面白くない。

適度に飛躍があって、なおかつキャッチーで直観的にわかりやすいフレーズ。これが、ちょうど良い塩梅になっている発想、表現。

こういうのは、受け手の想像力を刺激するし、説明としても伝わりやすいですよね。

意識的か、無意識的かそんな絶妙の言葉のチョイスができる男、それがナスD。

ここでは、食レポの切れ味がわかる、説得力のあるコメントを5つピックアップしてみます。

1.「永谷園がジャングル風味のお茶漬けを出したとすればこんな味になる」

5月30日の放送、ナスDが鉢に顔面を5か所刺された直後。プパルカからイキトスへ向かう客船ヘンリー号で食べた、鶏ダシのお粥。

美味しいはずないでしょ、こんな見た目。こんなグチャグチャで。
えっ!?
あの有無をいわさず美味しいです。
朝とった鶏ダシで作ったお粥なんですけど。
アジアンテイストのお粥ですね。
モンスーンカフェに出てきそうなお粥。
パクチーとか香辛料とか。色々入ってて薬膳粥みたいな。
ジャングル風薬膳粥。でございます。
おいしゅうございます。
(中略)
永谷園のお茶漬け。
永谷園がジャングル風味のお茶漬けを出したとすればこんな味になる。
永谷園のお茶漬けオーガニック風。

2.「牛すじ煮込みかけご飯のアマゾン版」

個人的には一番好きなレポートでした。

これはプエルトフィルミーサ村のホセさんの家で食べたスダド・デ・ピロという料理を食べたシーン。

番組のナレーションによると、ジャングルのオリジナル調味料(?)とタマネギを炒め、香りが出たら魚を入れて煮込むそうです。

この料理の場面、ナスDは「カレーライスみたいな魚のスープを。すげえ。豪快。あんな料理みたことない」と見た目から報告します。まだ画面に料理の映像は映っていません。

そして料理の感想がこちら。

アンコウみたいな味・モツみたいな。
完全に牛すじ。魚風味200%の牛すじの味。
牛すじ煮込みかけご飯のアマゾン版

言葉のチョイスも面白いし、説明の臨場感もすごい。

3.「ケチャップ味じゃないチキンライス」

ギソと呼ばれる、鶏肉を使った料理を食べた場面で。

タマネギと鶏ダシがすごい効いている。
ケチャップ味じゃないチキンライス

なんだそれ、と思いつつもイメージがパッと思い浮かびますね。

ちなみにこんな料理のようです。地域は若干違いますが、スペイン発祥の煮込み系メニューのようですね。

4.「甘いんですよ、すごい甘さを感じる」

これはちょっと食レポとは違うかもしれませんが、ナスDが濁った川の水をガブガブ飲むシーン

水こんなに黄色いじゃないですか。
これ日本だったら泥水なんですよ。
甘いんですよ、すごい甘さを感じる。
こう見ると茶色いじゃないですか。ガブ飲みですもん

これを撮影Dとの間で、何度も繰り返す。

美味しく思えてきちゃうから不思議。普通の人がやったら絶対お腹こわすと思うけど。

5.「行列ができる鶏のラーメンの店」

ホセさんの家で食べた、鶏にごはんを入れたスープ「チャクラ・デ・ガジーナ」の感想はこちら。

スゴイ美味い。
100%オーガニックスープの鶏だし。
行列ができる鶏のラーメンの店。
完全にラーメンのスープです。
行列ができるラーメン屋のスープにご飯を入れておじやにして、鶏入れた感じ。
すごい鶏だしのおかゆ。中華街に謝甜記っていう行列ができるおかゆの店があるんです。そのおかゆよりも美味しい、こっちのほうが。

さりげなく、グルメの知識も披露しています。謝甜記はこんなお店です。

中華街のお粥専門店「謝甜記」のトレードマークがサンタクロースなのはなぜ?

食レポについて視野を広げて

これまでも、Twitterなどには食レポの巧みさに「すごい」といった声が多く上がっていました。

番組MCのバイきんぐ小峠が、注目すべき点として食レポをプッシュしていたこともあります。

あと、ナスDの異常な食レポの上手さ!部族の料理を日本料理と比較して、あんなにも上手に伝えられる人って、ほかにいないと思うんですよ。そこも注目です
ナスDの意外な魅力を番組MC・小峠が語る「あんなに上手な人、他にいない」 | テレ朝POST

ところで、食レポとは、読んで字のごとく「テレビなどで、レポーターが料理をその場で食べ、味などについて感想を述べることコトバンク)」です。

文字通りの意味ですね。

このフィールドでは多くの芸能人・有名人が活躍していますが、一方で近年はこのジャンルに人材が減少しているという見方もあるようです。

石ちゃん、彦摩呂で打ち止め? 専任食レポタレント減少のワケ

一般的に食レポと言えば「まいう〜」の石塚英彦、もはやネタ化している「○○の宝石箱や〜」でおなじみの彦麻呂などの顔が浮かぶ。しかし最近では、彼らのような自分流の表現や決め台詞を持った、いわゆる”食レポタレント”が新たに誕生することはなく、アナウンサーや芸人、タレントが、これまでの定石に則って食レポをする姿ばかり目にするようになってきた。なぜ食レポ界を牽引するようなタレントが表れなくなってしまっ…

この記事で、メディア研究家の衣輪晋一氏は、食レポのコツをテレビで明かす人が増えたことで、初心者でもそれなりの完成度を見せられようになったと指摘。

食レポは“味”への言及だけではなく、音や見た目や香り、食感を言葉にするのが定番です。そこに、喉越しなどの感想、また決め台詞の一つでも入れられれば完璧でしょう

なるほど、こんな風にすれば、それらしく見えると。

別の場面からナスDのレポートをもうひとつ見てみましょう。アワフン族の村でイタチのネックを食べたシーンです。

クサミはすごいあります。ちょっと吐きそうになりました。
肉食ってるんですよ。これ肉ですよ。この音聞いてください。
(かじる)
せんべいですよね。石みたいにキュッとここに肉の旨みが。
肉自体はすごい美味しいんですよ。
においがここから食べる度に出てきて、すごいくさいんですよ。

味だけでなく、音や見た目、香りと、さっき挙げた、食レポに必要なポイントがすべて押さえられていますね。

ものすごい観察力説明のわかりやすさです。

ナスDの食レポはすごい。わかってもらえたでしょうか。

最後にイタチのシッポを食べたシーンをご覧ください。

牛のアキレス腱に似てます。食べたことあります?
本当は僕も食べたことないんですけど。食べたことがない味。
鳥軟骨のすごい硬い野生版みたいな感じですかね

いや、何も考えずにしゃべってるだけかな。面白いからいいか。

新しい旅も楽しみですね。

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