「神の島」と呼ばれる久高島に行ってきた。何もないけど何かがある島

ちょっと前に沖縄に行ったのですが、前々から気になっていた久高島を初めて訪問できました。

久高島は沖縄南部の知念半島から東に約5kmの場所にある小さな島です。

安座間港という港からフェリーで30分くらいで着く距離なんですけど、沖縄にいた大学時代の5年間には行く機会がなかったんです。

安座間港で久高島行きの切符を買って、出港を待ちます。高速船とフェリーの2隻体制で1日に6往復が運航しています。

運賃は高速船(15分)で大人往復1460円、フェリー(25分)なら大人1280円。時間によって、2本が行ったり来たりしています。

車は駐車場があるので、そこに止めておけばいいそうです。

久高島が他の離島と違うのは、「神の島」と呼ばれる歴史的・民族的な重要性。南城市の公式サイトでは次のように説明されています。

琉球開びゃくの祖アマミキヨが天から降りて最初につくったとされている島で、五穀発祥の地、神の島と呼ばれています。また、歴代の琉球国王は久高島参詣を欠かすことはありませんでした。久高島には、12年に1度、午年に行なわれる祭事・イザイホーに代表されるように神秘的な祭事がそのまま残っているため、民俗的に貴重な島として注目されています。
神の島 久高島 | 南城市公式Webサイト

琉球開闢の祖が最初に作った島。残っている言い伝えからも、この島の重要性が伝わってきます。

土地は神様から借りているものという考えから、島の北部は私有が許されない聖域として現代まで自然の姿が残されているそうです。

余談ですが、僕の母親は長くライターとして生きており、名前を出しているものから出していないものまで、著名人の本から実用書まで様々な本を手がけてきましたが、ここ10年はこのアマミキヨという神様を入口に、日本の神々との共通性やつながりなどを追跡しています。

追跡アマミキヨ

琉球の始祖と伝わるアマミキヨとは誰か。その痕跡を追う旅ログ。南城市玉城で出会った語り部と共に謎解きする、古代琉球の神々の事々。なおこのブログの写真文章の無断転載をお断りします。 c 2013 utoutou.

身近に久高島の専門家がいて、沖縄にしばらく住んでいたのに、行ったことなかった久高島。近くて遠い神の島。日帰りですけど、楽しみです。

待合所には売店が併設されていて、久高島の名産品などが販売。この黒くてトグロを巻いているのは…イラブー(ウミヘビ)ですね。何に使うんでしょうか。

昔、恩納村の海岸で野宿をしていて夜中に汗を流しに海に入ったら、目の前にウミヘビがいて目が合いました。満月の夜、明かりは月の光だけ、目の前でうねうねするイラブー。人生の終わりを覚悟しました。

そんな思い出にひたっていたらフェリーくだかの準備ができていますね。

観光客の足となるフェリーですが、地元の人にとっては生活のための不可欠な交通。自動車を運んだり、生活物資を運んだりする役割を持っています。観光は歩きと自転車で事足りても、高齢の方も多いし生活に車は必要ですよね。

席は1Fの室内席と2Fの壁のない席。

フェリーが出港しました。生活の移動手段なので、多くの人がイメージするような出港の盛り上がりはありません。路線バスが発車するより静かです。

安座間港が遠ざかっています。

それにしても天気のグズついたこと。今回、3泊4日で沖縄に滞在していたんですけど、那覇行きの飛行機で青空を見てから、帰りの飛行機が離陸して空の上に行くまで、一度も太陽を見ることができませんでした。梅雨入りにはまだ早かったんですけどね。

少しすると久高島がハッキリと見えてきました。

距離にしてたったの5kmなんですけど、海に落ちたら生きて戻れない気がします。生活のすぐ横に、こんなに大きく計り知れない深淵が広がってるのか。派手さはないけど簡単に生き死にを左右するワイルドな海に向き合っていると、人間にできることなんかちっぽけな気がしてきます。

自分が昔の人だったら、この海を渡ろうと思えたでしょうか。琉球の昔の人は木で作ったカヌーで南太平洋まで行っていたというから驚きです。

2Fの席で強い風に煽られながらそんなことを考えていると、間もなく久高島に到着です。

曇っているのであまり変わらないように見えますが、たったこれだけの距離でも海の色が全然違います。透明度、青みがすごい。

つつがなく着港して、フェリーを下りました。結構たくさんの人が利用してるんですね。

県のサイトによると、島内はこんな風になっているようです。

…いや、ザックリしすぎだろう。道1本って!

と思いましたが、久高島振興会が出している地図を見ても、基本的にはこれと同じ。

港の周辺に公共施設やお店、家が集中したエリアがあり、北側は琉球のはじまりもこんな光景だっただろう自然な広がってるんでしょう。

港から坂を上ったフェリー待合室で自転車を借りました。この辺りにはレンタサイクルをしてる所が3つあるそうです。

レンタル代を払うと鍵を渡されて、番号の自転車を探す段取りになっていますが、これがなかなか見つからない!

自転車を見つけたら、すぐそばの食堂で腹ごしらえです。

寄ったのは食堂けい。沖縄の家のような居心地の良さ、懐かしさがあります。

なんで沖縄の民家に懐かしさを感じてんだ、と思いましたが若い時分にいろんな人が招いてくれたからなんですね。

しみじみ。あ、でも振り返ると心にしみることばかりって感じですが、普通に嫌なこともあったし、僕だって人に嫌なことをしていたと思いますけど。ともかく、感謝を忘れる理由はありません。

久高島のなせるわざか、今日は何かと普段考えないことを考えがちですが、沖縄そばが冷めてしまうので中断します。一応、考えごとしながらも友達と会話もしてるんです。

透き通るスープが、意外とダシの味が強くて美味しい。三枚肉に味がしみてます。

お腹を満たしたところでサイクリングで島内散策。島の北端のハビャーンを目指しましょう。

住宅ゾーンを抜けると、視界に入るのは北へと続く一本道と両サイドに広がる林、時々姿を見せるお墓だけです。

木々の切れ目から見えるエメラルドグリーンの海。これ晴れてたら最高でしょう。

もらった紙の地図を確認しながら進んでいるんですけど、道順はわかっても現在位置がわかりません。最後の目的地が同じならどっちでもいいような気もしますけどね。

これは人生にも通じそう。…うん、進む道ひとつでも問いかけが深い久高島。

砂利道から舗装された道路に戻りました。思ってた道と違うところを走っていたのか!

途中、南北縦断大通りから外れて、海沿いのロマンスロードを経由してみます。

木に覆われた小道を抜けると、東屋がある開けた場所に到着。

対岸に本島が見えます。この曇り空で、この海の色ってすごくないか。

明らかに沖縄初日よりも海に対する感動アンテナの感度が鈍ってますが、そんなの関係ないくらい圧倒的な美しさ。

足元めっちゃ怖いんですけど、魅入られて飛び込んでしまいそうな、怪しい美しさ。

色調整なしでこんな色だから、晴れたら写真に映えそう。

途中、カラフルな植物が生えてました。

 

見たことないくらい大きなガジュマル。森が深い!

長く手つかずの昔のままの森の形なんでしょうか。王も見たのか、この森を。

曇ってますが、風がすごく気持ちいいです。空気がキレイとか、涼しいとかだけじゃなく、パワースポットと呼ばれる場所によくある、何かピリッとする風。

気のせいか、「神の島」のバイアスがかかってるのか。暗示にかかりやすいんですよ。でも、この空気はやっぱどこか違う気がするので、行った人いたら感想教えてください。

雨が降ったのか、未舗装路は水たまりが結構あって走りにくい。最後の分かれ道を通過したら、もうハビャーンはすぐそこです。

このハビャーンは、アマミキヨが上陸し、住み着いた場所とされる場所。島の東にあるイシキ浜という場所から、このハビャーンまでのエリアは理想郷ニライカナイに一番近い場所とされているそうです。

海が見える場所まで降りてきました。琉球の歴史のはじまりの地だと思うと感慨深いものがあります。

どこにでもありそうな海辺の岩場です。特別なところも、キャッチーな要素もありません。ただ、海がある。言い伝えられている上陸の時期からは、どれほど景色が変わってるんでしょうか。

帰り、ウパーマ浜に寄りました。ただただジャングル。

砂浜です。

小さなカニがいました。

人面石とメルカリで売ったら高値がつきそうな流木。ここは聖域です。冗談でもそういうことを言ってはいけません。

帰りは行きとは違う道から神聖な森を抜けていきます。2時間ほどの散策ですが、色々と考えることがありました。

シーサーの無人販売がありました。お土産に買って帰ろうかな。

何がすごい!とか、これが良いよ!とか、訪れる人がわかりやすく喜ぶエンターテインメントな観光的要素はないんですけど、時の流れを感じたり、生命について考えたりするにはぴったりの時間。

普段は考えないような自分を見つけたりできるかも。

島に入るためには、守らないといけない約束事があるので注意してください。

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